サイレントナイト翔・バトルナイト翔-KAKERU-
概要:原作レビュー~その後の傾向
|
90年代初頭、かの聖闘士星矢の後連載として車田先生が満を持して世に送り出したのがこのサイレントナイト翔(ショウ)であった。 とまあ星矢の後連載として描かれた翔だったが、いざ蓋を開ければその星矢の二番煎じ感が強く、いまいち盛り上がりに欠けた結果の連載終了といったところ。とはいえこの翔も翔で結構読めた作品なので煮えきらない感もしないでもない。 その名も、 バトルナイト翔−KAKERU− ともかくもこの翔(カケル)が令和の神話足り得るか、ということでひとまず記しておきたい。 |
リメイク予想:バトルナイト翔ーKAKERUー
| 第1話:たたかうナイト、ファルコンのカケル |
| 泣きながら赤子を抱き野道を駆け抜ける一人の少女。 やがて足取りを緩め、赤子をあやしつつ歩むが、赤子が泣き出したその時、謎の一団が少女を取り囲む。 「その赤子を置いていけ」と筆頭格の男が要求する。 しかし少女は男を裏切り者と呼んで拒絶する。しかし少女は次第に追い詰められ後、赤子を抱きしめつつ断崖の底へと飛び降りるのだった。 それから約十数年後 この日も授業を終え、一足早く帰宅の途につかんと窓から飛び出す一人の生徒がいた。 そして後日、学園界隈を不敵に見やる一人の男、 学園にいる者の動向を探れとの命で「エボリューション!」の掛け声とともに異型の姿に変貌する。 数日後、先の事件から落ち着いた学園に駆け足で登校する翔、 |
| 第2話:だいちのナイト、ラクーンのコウスケ |
| 「俺の名は天宮翔(あまみやかける)ごく普通の中学生、のつもりだったが、 なぜかネオソサイエティって変な奴らが攻めてきて、なし崩し的に俺もファルコンのバトルナイトに変身、エボリューションって言ったけど、ともかくそいつになっちまった。 それで敵のナイトと渡り合って、いろいろあった後にやっつけることができたんだ。でもこれからどうなるか分からないから、まったく面倒なことになったもんだぜ」 と、駆け足で登校する翔。 昨夜、隼人から思いがけず前回のことについて話を受けた。 ところ変わって深窓の屋敷。そこで華道に興ずる少女とそれを見守る初老の女性。 |
| 第3話:マーメイド けだかきみずのナイト |
| ある日の午後の交差点、幼い女の子の飼い犬が、勢いよく走り出す。それと同じく、走ってきたバイクがブレーキが利かず、その飼い犬にぶつかってしまいそうになるも、何かの人影がその運転手と飼い犬を救い出し、あとに残ったのは信号機の柱にぶつかったバイクと、女の子の飼い犬を抱いた形の歩道に座り込んだ運転手だった。それを遠くから見ていた少女はそのまま交差点を後にする。 変わって学園にて、その日は体育のドッジボール、翔が気合のこもったサーブを放つも、勢い余って隣の屋敷まで飛んでしまった。しかしボールは勢いよく弾き返され、翔のもとに飛んでいき、それを受け止めることとなった。そこに駆け付けてきたのはなんと優等生の潮海鳴、気遣う彼女に大丈夫と返す翔。その後で鳴も小声で「ちょっとやりすぎかしら」と案じたりもしたが。 後日隼人が学校隣の潮海邸に招待されたので赴いてこいと告げられ、赴いた先に、鳴と祖母の渚、そして何故かアイナ先生も待ち構えていた。 渚婆さん主催でお茶会に興ずることとなり、翔もアイナの指導の元、ぎこちない中茶の湯に臨む、その上で女性陣の談笑を聞き流しつつ時がすぎ、この場を離れんとして立ち上がりざま足のしびれに手間取りつつ帰途に就く。修行が足りないと釘をさすアイナと、また遊びに来るよう呼び掛ける渚婆さんの呼び掛けを背に受けて。 港町倉庫跡にて数人の男、ネオソサエティのナイトたちが事態の趨勢を憂慮していた。すでに二人目のナイトも覚醒し自陣営のナイトも二人倒された。三人目の覚醒も時間の問題だと誰もが語る中、座長格の男が自らが乗り込むと告げて場を後にする、後に残ったのは呆然と見守る残りの男たちと、天井上の鉄骨に寄り掛かり、つまらなさそうに見守っていた少女だった。 次の日、その男が学園周囲に現れ、行動を起さんとした時、先に居合わせた少女が木の上から「闇雲に暴れても埒があかず、アントやモウルの二の舞いになりかねない」と告げる。さしあたり近隣の屋敷に調べを入れろとの忠告とともに少女は姿を消す。それならばと男はライノのナイトへとエボリューションし、件の潮海邸に踏み入れんとする。 潮海邸にて渚の手当を済ませ、後に訪れた耕作とともに今までの事態をこの場で告げんとする隼人。そんな中アイナも入ってきて、ナインテイル(九尾の狐)のホーリーナイトにエボリューションする。先のアント戦のジャッジやモウルに荒らされた畑を再生させたのも彼女だったのだ。 少し時がたち、とある林の中、駆け抜ける人影があり、大木の枝の上で留まり一人の少女が姿を現す。 |
| 第4話:たたかうようせい、フェアリーのシーリン |
| 今から10年少し前、逃亡の末に敵の手から逃れるために断崖から身を投げ海へと逃げ延びた後海上に浮かぶ一人の少女、その胸には赤ん坊が腕に抱かれていた。 赤ん坊の産声に目を覚ましたその少女、フォックスのアテンダント(従騎士)アイナ。その赤ん坊、先代ロードの愛娘の無事を喜び、海に浮かんだままに赤ん坊を強く抱きしめる。そんな二人に一艘の小舟が近づいて来るのだった。 そして現在、家の寝床で眠りについていた翔、幼い頃に事故で亡くなった母親が現れ、翔もゆっくりと近づいていき、やがては母の胸にいだかれる。 廃工場まで逃げ延びた少女のもと、数人の男たちが待ち構えていた。 |
| 第5話:はしれ、ちいさなナイトパピーズ |
| その日小さな女の子がカケルの家を訪れた。学園の初等部に通う葦谷千穂という女の子で、カケルとはたびたび顔を合わせた知り合いでもある。 その子がカケルを頼って相談を持ち掛けたのだ。飼っていたチッポという子犬がいなくなったので探してほしいとのこと、隼人にも促されひとまず探すことになったカケルだが。 しばらく探しているうちに、以前ナイトの能力で探せるかと思うも、こういうのは無闇に使う物ではないと思いとどまり、自問自答するうちに耕助と鳴と合流する。 カケルが事情を話すと、先に顔を合わせたことがある鳴が千穂の額に手を当て、その子犬チッポの行き先を探し当てることができるとひそかにカケルにも話す。こういった人助けもナイトの使命ということで一緒に探すことになるが、次第に重くなる鳴の表情を読んでかカケルが呼び掛けると、小声で何者かにさらわれたとのことだ。 途中あのスクーターの兄ちゃんがある少女が子犬を抱えて通っていったと話し、どこへ行ったのかという問いに、兄ちゃんが示した方向へとかけていく。 一方どこかの工場跡にてあの少女が、胸に抱かれ吠えている子犬をあやしていると、一人の男が舞い降りる。「いつまでロメロ様を待たせるのか、またロードもご立腹だ」と問いただすも少女はそれを流し、今抱いている小犬の飼い主にフィールを感じ、その小犬を連れておびき出そうとしている応え、男も少女の言に半ば煙たがりつつ、ジャッガルのナイトへとエボリューションしカケルたちを待ち構える。 一方カケルたちも連れ去った少女のことを気にかけつつ手分けして探すことに。何かあったらすぐに駆けつけられるよう先に習得したテレパシーのスキルで連絡を取ることにもした。 こうして子犬の手がかりをたどるうち、千穂が「お姉ちゃんと連絡取ってるの」と問う。突然の問いにまさかテレパシーのことを知っているのかと懸念するうちに、件の工場跡にたどり着き、そこに件のジャッガルが現れ、同じくチッポを抱いたあの少女も姿を現す。 「自分たちをおびき出すために子犬をさらうとはセコいマネするじゃねえか」とカケル。しかし少女も「目的は別にある」と言ってチッポを放し、千穂のもとに返す。その上で千穂の中の何かが目覚め、チッポとともになんとバトルナイトへとエボリューションしていくではないか。 実は千穂も子犬:パピーのバトルナイトだと少女も調べを付け、そのエボリューションを促すために打った布石だった。 それを茶番だと吐き捨て襲い掛かるジャッガル、そろそろ本気を出すといって同じく少女もラビットのナイトへとエボリューションする。 そういえばジャッガルも少女:ラビットも先に対したハニービーと同じくらいの実力と読み、ここは自分が踏み止まるから逃げろと告げ、千穂たちもこの場を離れる。 はたして二人の敵に手こずりつつよくよく対するも、そのうちにジャッガルがこの場を離れ、千穂を追っていく。カケルの方も千穂たちを案ずるもラビットの方がよほど手強いと思い踏みとどまらずを得なくなった。 一方千穂たちも鳴たちのもとに向かわんと逃げ延びんとするが、ジャッガルが一足早く追い付き、そのまま蹴り飛ばす。蹴り飛ばされつつもチッポをかばい壁に激突する千穂、にじり寄るジャッガルにナイトのシェルターをまとったチッポが立ち塞がる。しかしあえなく退けられ、とどめとばかりに踏みつけられんとするも、間一髪というべきか耕助が背中で受ける。 食い止める耕助もジャッガルの猛攻に耐えかねたが続いて駆けつけた鳴がジャッガルの拳を受け流さんとする。さらにシーリンも駆けつけ、三人がかりで対するもそれでも手強かった。 三人の苦戦を見守らんとする千穂だが、胸に抱いたチッポからナイトとしての能力、ことに戦いの業が脳裏に刻まれ、千穂もまたチッポとともにジャッガルに立ち向かわんとする。 三人を押し返さんとするジャッガルに千穂とチッポ:パピーズの必殺技“ワンダードッグラッシュ”がジャッガルにぶつけられ、はね返されつつもジャッガルにダメージを与えられた。そこで大きな隙ができたジャッガルに耕助と鳴、シーリンがそれぞれの業を繰り出してようやく撃破することができたのだ。 そういえばカケルがもう一人の敵と戦っていると告げ、その工場跡へと戻ると、手負いのカケルが立ち尽くしていた。ラビットのスピードと業に翻弄されっぱなしで何もできなかったと自嘲しつつも千穂たちの無事を知り安堵の表情を浮かべるのだった。 後にアイナに千穂のことを話すと、千穂のことはアイナも薄々感づいていて、その上でカケルも隼人とともに千穂の両親にある程度の説明をする。 |
| 特別編:おれたちのメリークリスマス |
| 時は12月下旬、巷はまさにクリスマス一色。かくいうカケルはどちらかというと興味が薄く、年末年始の修行三昧の日々を楽しみにしていたきらいもあった。 そういえば耕助も鳴も、そしてシーリンもなにやらクリスマスパーティーの準備に忙しいと聞いている。ついでに千穂も家のパーティーを開くとも言っている。 まあよそはよそだといって家路につくカケルだが、そこには付けヒゲと赤い衣装を身にまとった隼人がいた。 何事かと問うカケルだが、近所の子供たちのパーティーにてプレゼントを贈るサンタ役を買って出たのだ。そういえばカケルには使命や修行のこともありまともにクリスマスを楽しませてやれなかったと話す。 また修行は先送りかとこぼすも今日はクリスマスイブ。この日ばかりは隼人の手伝いをしようと乗り出すのだった。 一方で廃港近くの倉庫の一室、さびれた建物とは正反対にきれいに飾られた内装の部屋の中、そこは風呂上がりのラビットが佇んでいた。しかしそこに謎の男たちが入りこんでいく。誰かと誰何するも結局ロード配下のナイトたちだった。 そもそもロードを監視する役目としてお目付け役のパラディン・ロメロ配下のラビットだが、最近のカケルたちの活躍を危惧して彼らの監視をも担っていたのだ。 ところがあまりにも奔放に振る舞い監視もおざなりになりつつあったのに業を煮やしたロードが、ここで一気にカケルたちを殲滅せんと彼らを派遣したのだ。 「仕向けられたのは仕方がないけど、くれぐれも彼らを甘く見ないでね」とひとまず忠告するも、代表のデアー(シカ)が一気に乗り出さんと他のナイトたちとともに勇んで飛び出すのだった。 袋いっぱいにプレゼントを抱えてかけるたちはパーティーの会場に向かうカケルたち、そこに件のデアーたちがいつの間にかカケルたちを取り囲まんとする。 戻ってもともと一人で立ち向かい、結果苦戦に陥るも、パーティー準備の中駆け付けた耕助たちに助けられた形となったカケル。耕助や鳴、千穂に気遣われ、シーリンに諌められながら、カケルも憎まれ口を叩きつつ感謝の言葉を述べるのだった。そしてあらためてアイナや隼人、そして子供たちが待つパーティー会場へと向かうカケルたち。空はすっかりと雪も降っていた。 |
| 特別編その2:ちいさなゆうしゃのこうぼうせん |
| 千穂とチッポがパピーズのナイトになり、それなりにバトルにも参加したのはいいけれど、自分が子供なので、やはりカケルたちにも見劣りすることではじめ引け目を感じていたが、今のままでは足手まといになりかねない。 ならばせめて自分なりに体を鍛えようと早朝からチッポの散歩を兼ねてのランニングを日課に加えることにする。途中カケルや耕助、鳴やシーリンらのトレーニングの様も見かけ、自分の戦い方も何か掴めるかと思案するのだった。 そんな千穂たちを想ってか、カケルも「いざというときは俺たちが守ってやるから」と励まして、ちょっと気負いつつも受け入れたりもした。 そんな千穂も初等部の授業でもクラスメイトをリードしつつ勉強をこなしていき、いつしか千穂にはなにやら大人びた風格が付いていたとも言われてきた。 それは件の廃工場内部、連絡役のラビットのもと、ロード直属の軽騎士カメレオンがとある任務を帯びて派遣された。その際ラビットもくれぐれも油断しないように言い渡すも、それを受け流しつつ出動する。 後に子供たちを無事に送り届ける千穂、先の事件については何やら記憶がないので、この場はアイナがひとまず取りまとめることとし、事件は一応の解決を見るのだった。 |
| 第6話:きせきのコンチェルト、ピーコックのリョウ(前編) |
| ネオソサエティの本拠のひとつ、青龍大魔城 もともとここは東の地域を守るバトルナイトの拠点にして修業の場であった。 しかし今のロードの反乱によって先代ロードと大半のナイトが粛清され、魔と瘴気漂う魔城に変貌してしまった。 その日パラディンのロメロ、もともとが中枢本部より派遣されたナイトである彼が、青龍のロード、ワイルドボアの岩雷に招集された。玉座の間にてはかのロードが山海の珍味が並べられたテーブルを前に、女性ナイトを給仕としてはべらせて食事に興じていた。早速ロメロも恭しく膝を置き、ロードに挨拶言上する。 「青龍のロード、岩雷閣下、パラディン・グリフォンのアルファロメロ参上致しました」 「ううむ、ロメロよ、してあの小娘と小癪なナイトの小僧ども、いつまで野放しにしておくか」 ロメロの言上に対し岩雷もあくまで尊大に応ずる。 「次代ファルコンのバトルナイトですね、たしかに彼の成長は著しく、すでに我が直属のナイトも幾人か打ち倒され、さらには閣下直属の・・・・・」 「そんな呑気なことを言っている場合ではない。仮にうぬが申した小僧の成長が確かならば、我らの脅威となろう」 「その前に叩ければよろしいでしょう、ご無礼ながらロメロ閣下の詰めも甘いと申し上げます」 割って入るように、好戦的な面持ちの男が現れる。 「おおホークのジャコビニか、お主が征くからには間違いもなかろう」 「すでにわたくしの他に幾人かのミドルナイトが赴いております。いかにファルコンとて相手はライトナイト、一気に叩ければ間違いはありますまい」 「たしかに、かのアーサーに次ぐ実力の君ならばな、だがくれぐれも油断はするな」 「承知」とロメロの言に不敵に応えつつ、ホークのミドルナイト、ジャコビニは部屋を後にする。そしてそれを見届けつつ、 「ではわたくしも、これで」 その様をやや不快げに見送ったのちに、あらためて岩雷も両脇の女性ナイトに酒杯を急かす。 しかし自室へ戻り際、ロメロもふとこれからの事態に想いをはせる。 「岩雷は当面泳がせるのもいいでしょう。しかしアイナ、そしてファルコンのカケル、本格的な戦いは案外近くなりましょう」 軽く笑みを浮かべつつ、これからの展開をロメロとしてもむしろ楽しまんとするきらいもあった。 その日は学園の学園祭、様々な出し物で学園内外からも父兄を中心とした訪問客で賑わっていた。 帰り際、他の出店を回って楽しんだ隼人とともに帰路につき、まず先に体験した演奏会のことを切り出そうとしたが、 |
| 後日修行のためにナイトのスキル習得を兼ねて拳の修業にいそしむカケル。そこに千穂が入りカケルの修業を見学することとなる。先の事件を受けて自分なりに強くならんとしてまずはカケルたちの修業の様を見て自分なりの戦いを見出さんとしていたのだ。 「大丈夫だ、いざとなれば俺たちが守ってやるから、ある程度のサポートを頼むよ」 と、自分と千穂の両方を励ましつつ、修行を始める。しかしそんな折に、 「あなたがファルコンのカケル君とパピーズの千穂ちゃんね」と、いきなり素性込みで謎の優男が呼び掛ける。 「何者だ」とカケルが問う。どうやらただ者ではないとカケルと千穂が軽く身構える。 「ワタシはネオ・ソサエティ、中騎士:ミドルナイト・ラミアのネークよ」といわゆるオネエ言葉で応え、 「本部の命令でアナタたちをやっつけに来たの」とラミアが告げるとカケルも、 「やはりろくなもんじゃないな、千穂、ここは俺が引き受けるからシーリンたちを呼んで・・・・・」と千穂に告げんとするのだが、 「あら、逃がさないわよお嬢ちゃん」と、周囲を結界で張り巡らせるのだった。 「これでアナタたちはワタシの獲物、さあ、おとなしく餌食になりなさい」 と、エボリューションをかけ、蛇のイメージのシェルター姿に変身するのだ。 対してカケルと千穂もそれぞれエボリューションをかける。ここに戦闘態勢は整ったかに見えるのだが。 一方、あの涼が学園内では何かを感じ、楽曲の指揮の練習を切り上げる。 こうしてカケルたちとラミアとの対戦の火ぶたは切って落とされるのだが。 まずカケルが繰り出すもラミアもほどなくかわし、続いて千穂とチッポの連係も難なくかわされてしまう。 「くそっ、こちらの攻撃が読まれているのか。3人がかりでちっとも当たらない」 「前にも言ったはずよ、アナタたちライトやアテンダントと違ってアタシはミドルナイト。ルーツもスネークの上位のラミアなのよ。つまりアナタたち下位のナイトなら、アタシが負けることはあり得ない。そう、アナタたちはもはや蛇に睨まれた小鳥と子犬なのよ。さあ、おとなしく観念しなさい」 「何をっ、このままむざむざやられてたまるか」 と、カケルも構えなおして必殺のファルコンバーストを繰り出す。しかしラミアも動ずることもなく防御の構えを取る。しかしラミアも少し後ろにずれただけでさほどきいてはいなかった。 「なに、俺の渾身の拳か」 「さしものワタシも危なかったわね。やはりロードやロメロ様も危惧した通りよね」 そしてラミアも低い姿勢からの構えを取る。 「今度はこっちが行くわよ、誇り高き蛇の女王の牙、キラーファングドラミア!」 まさに蛇の毒蛇にふさわしき拳がカケルを、そして千穂とチッポを貫く。 「あらあら、結構守れているのね。しかし確実にダメージは受けているけど。それじゃあ念のためとどめといきましょうか。楽しかったわよ、ボウヤ」 と、ラミアの爪がかけるに振り下ろされんとしたまさにその時、一枚の羽根らしきものがラミアの腕をかすめる。 「誰!」と誰何するラミアにその人影は姿を現す。 「う、あんたは・・・・・」とカケルが呼びかける。 それは先にカケルと出会ったあの指揮者、孔雀型のシェルターをまとった涼だった。彼こそがピーコックのナイト、リョウだったのだ。 「間に合ってよかった。おそらく敵の結界が張られて君たちのフィールが感じられなくなったから少し手間取ったよ」 「くそっ、面目ないな、こいつは俺が倒したかったんだがこの様だ」 涼に気を取られている間に千穂たちとともに体勢を立て直したカケルは涼のもとに駆け寄っていざ戦闘再開と相成った。 「ずいぶん舐めたまねしてくれるじゃないの」憤るラミアも仕切り直しと三人に立ち向かわんとした。しかし涼はシェルターの一部から棒状の物体、いわゆるタクトみたいなものを取り出して、ラミアに差し向ける。 「何のマネよ、これは」 「じきに分かりますよ」と、飛び掛からんとするラミアに 「かかったね、それじゃあ始めるよ」と涼もタクトを掲げる。 一瞬ラミアの爪が涼をかすめんとしたと思いきや、そのラミアが振り上げたタクトの軌跡通りに投げ飛ばされたかの如く転がったのだ。 「な、何をしたのよ」と事態を図りかねるラミア。 「これこそ僕の業、ミラクル・コンチェルト。これであなたは僕の虜ですよ」 「何をっ!」と半ば激昂して飛び掛かるラミアの攻勢をよくよくかわしつつタクトを繰り出し、はたしてラミアの体制を崩し続けてていく。 「くっ、何よこの子、ワタシの攻撃が全然当たらないわ」 「言ったはずですよ、あなたは僕の虜になったと、さあ。これで総仕上げです」 そしてラミアは真っ逆さまで宙を浮いてしまった。そしてカケルに向かって言い放つ。 「さあカケル君、とどめは君が刺して下さい。体力も回復したはずですから」 「あ、ああ・・・・・!」といつの間にかダメージも和らいだのを感じつつ、再び構えなおし、渾身のファルコンバーストを放つ。 今度ばかりは防御しきれず、モロに受けたラミアは、 「何なの、さっきより格段に強くなって、いったわ・・・・・」 こうしてラミアを倒すことができたのだった。 「本当に恐ろしい奴だったぜ。これがミドルナイトってやつなのか。先に戦ったラビットもそうだがこんなのがこれから何人も来るなら、苦戦は免れなさそううだ」 今回の戦いを省みつつ、カケルもこれからの戦いに想いをはせすにはいられない。 「でもこの戦いで苦戦しつつ、君たちの力を得たことでしょう。それでも危ないところでしたが」 「ああ、今度はもう少しうまく戦いたいよ」 今回の戦いに先だって、カケルとついでに千穂たちは一つのスキルを習得した。それについては後々語るとして。 「ともかくも次からは僕も力になりますから、よろしくお願いいたしますよ」 「ああ、俺もよろしく頼む」 と、カケルと涼、そして千穂はあらためて固い握手を交わす。こうしてカケルに新たな仲間が加わったのだ。 そして後日、カケルは涼とともに修行にいそしむのだった。タクトを手に組手をかわすカケルを少しあしらいつつ、対するカケルも自らの動きを噛み締めていくのだった。 |