各作品レビュー:ハ行![]()
| ヒストリエ(岩明均) |
| 古代マケドニア、アレキサンダー大王に仕えた武将エウメネスの半生を描いた歴史作品。 かつては寄生獣で読者の度肝を抜きその後も重厚なストーリーを繰り広げた岩明氏の意欲作でもある。 流浪の民の一子としと生を受け、古代都市カルディアの名家に引き取られて幼少期を送るも、家の没落とともに奴隷として売られ、様々な苦難や流浪の末にマケドニア王フィリッボスに召し抱えられる。といった大まかなストーリーで。 当作は古代ギリシャ、ヘレニズム時代が舞台だが、登場するキャラは今時の若者のセリフ回しに近く、ある程度のライトな作風にもなっている。以下続編となっていますが続報は今後の展開をば。 |
| ファミ通のアレ(仮題)(竹熊健太郎・羽生生純) |
| 90年代にファミ通で人気を博した『しあわせのかたち』の桜玉吉先生に触発されてか、当時新人の羽生生センセイと組んで描いた作品である。うだつの上がらない貧乏博士という設定の竹熊氏が自作のポンコツアンドロイドの純子とともに担当の国領氏との掛け合いコントを繰り広げながらもゲームマンガみたいな作品を中心に面白おかしい人間ドラマがメインのストーリーとなっている。。 ちなみにタイトルは初回からなかなか決まらず、結局ファミ通のアレといえばこの作品といった存在を目指したたしかにいい加減な設定で設定された。 作品内容もゲームマンガを描こうとするいきさつをストーリー化したものや同誌の他作品の勝手なパロディやらファミ通等業界の当時のレポートみたいなものや、当時人気のRPGの世界のベースとなった中世ヨーロッパのトンデモ歴史の裏側等のウンチク話やらと結構バラエティに富んでいた。あと水死体となった桃太郎一行がガンジス川をただ流れゆくだけの桃太郎inガンジスもある程度シュールな作品もある意味引かれるものがあった。 結局は軽い冒険話に転んだかと思いきや完全に楽屋落ち話でシメてしまったけれど、全体を通じてやはり面白いといえるかもしれない。そしてその作品を機に羽生生センセイも異色の漫画家として第一線で活躍しているともここに記載したい。 |
| ブラックジャック(手塚治虫) |
| 言わずと知れた手塚先生の名作で、最近テレビアニメ化したということでかつて連載した少年チャンピオンを始めとする秋田書店では大々的なキャンペーンを行った。 各作家さんが各オリジナルのエピソードを描く中、特に山本賢二氏の漫画はまあ原点回帰を強調したかったのだろうか、BJが結構腹黒く描かれている。これは山賢さんの偽悪的な性格によるものが多いものだろうが、編者的にはちょっと引く。 かつて宮崎駿カントクが評したと思うが、確かに手塚先生の漫画はある意味人間の死を兇器にしている感があり、特にBJではそれが露骨に表れているように僕も思える。「どうしてこんな所で」という具合に。まあついでに言ってしまえば、やはり手塚マンガらしくファンタジーの要素もやはりちらほらと見受けられる。 それから今にして思えば、裏世界の医者といった設定も、当時の社会情勢に対する手塚先生のアンチテーゼではないかと思ったりもする。それでもBJは後に続く医療マンガの先駆けとなったのは言うまでもない。 そのような当作品だが最近のアニメ版は長男の眞氏が監督を手掛けたことは都度に有名で、当時の作品を現代の医療技術に照らし合わせた作風にと制作され、あと先に問題となったキャラクターの生死に関して意見を加えたことも挙げたい。 それに際して僭越ながら、アニメ化されなかったエピソードを編者なりに予想はしてみたものだけれども。 |
| こち亀で名高い秋本治先生がその後連載として、いわゆるハイパー西部劇の触れ込みで世に送り出された傑作である。 時は南北戦争直後の西部開拓時代、時のアメリカ政府公認の賞金稼ぎとして、いまだアメリカ全土に巣食う悪漢どもを成敗すべく奔走するティガーの活躍を描いたストーリーで、そのガンアクションはある程度のバイオレンス性を表に出し、ティガー自身も最近の秋本先生ならではのセクシーさを醸し出していることも記したい。 また彼女の活躍はアメリカだけにとどまらず、幕末日本やら産業革命期の英仏などとまさに縦横無尽に駆け巡り暴れまわるといったものでもある。またこち亀時代で培われたナンセンス性から派生したある程度のファンタジーやらミステリー要素も出たこともまた魅力となっていた。 そんなティガーも、ジャンプ本誌にて連載終了後も特別掲載として掲載されているこち亀に特別出演して、まさに両津を喰うほどの存在感を示してくれた。そういえばティガーに対しては倒されていく悪漢たちがある意味両津のオマージュであるかに見えるがこれはさにあらず。どこかのお話でティガーと同じ賞金稼ぎながら、ティガーを守るため身を挺して悪漢ともに倒れていった男が両津のオマージュではないかと思うところもある。 さておきそのティガー、たびたび彼女に敵対する悪の科学者やら、それを陰で操った、かのリンカーン大統領の暗殺事件に端を発した闇の武器商人との決戦を経て、すべてを終えて後故郷に帰って生涯のパートナーと穏やかな生活に入る大団円を迎えた。 こうして秋本先生が一番描きたかったこの名作も漫画誌の1ページを刻むに至ったのだ。 |
| ベルサイユのばら(池田理代子) |
| それはフランス革命前後の動乱期を生き抜いた人々の群像劇である。 オーストリア、フランス間の外交革命における婚姻政策から端を発し、そのフランス王室のスキャンダルを経ての財政の逼迫から始まった動乱はやがて革命の泥沼へとはまっていくのだった。 革命の中心人物たるマリー=アントワネットはもう説明の必要もないフランスの王妃として運命に翻弄されていきながら強き意志で生き抜いていく。 そして主人公たるご存知男装の麗人の代名詞ともなったオスカル=フランソワ。男として育てられた彼女は武門の家系に準じて王室近衛連隊に入隊、アントワネットお付きの武官として彼女の守護を担いつつ、やがて社会の歪みと幼なじみのアンドレとの仲に思い悩みながらも、やがて革命の渦に身を投じていく。 この二人を中心に、史実とフィクションを織り交ぜながら流れる物語は悲壮感を漂わせつつも、それでいて多くの人々の共感を生むに至る。 作品のヒットを受けて、世界観がなじむということで、まず宝塚歌劇団のミュージカルとして上演され、続いてテレビアニメ化もされ、その人気に拍車をかけた。そして今再アニメ化する動きとなり、ベルばら人気の高さを再認識することにもなった。 |